【お礼】
最後まで、あるいは途中まで、あるいは萌えるところのみ読んでいただいた人に……そして間違えてページを開いてしまった人にも(!?)、感謝の言葉を述べたいと思います。
本当にありがとうございました!
ふたりの物語を書きたいと思い始めてからはや二年。毎日というわけにはいきませんでしたが、コツコツコツコツ、移動やお風呂の時間、布団に入ってから寝るまでの時間など、ちょっとした空き時間が手に入っては空想にふけ、書くための糧としていました。頭に浮かぶすばらしい情景、そして字に興したときの至らなさ……理想と現実のギャップに悩みながら、手を動かしては止まり、止まっては動かしを繰り返し、何とか捻り出したという次第です。
少しでも読みやすく、面白くなるよう、ネットで文法や書き方のルールを検索しては、何かいい方法はないかと探したり、書店でその手の本を漁ってみたり。絵とは異なる表現のアプローチの仕方に苦労しながらも、新たな創作の世界を楽しんでいる自分がいました。稀にではあるのですが、頭に描いたシーンと、書いた文字とがキレイにつながったときは、にやけが止まりませんでした(ヤバイ人←)。このような不思議な体験ができたのは、pixivというSNSサイトがあったからに他なりません。運営の皆様に、感謝をして止みません。
【ふたりとの出会い】
ジーノはゲームのなかで、ロゼッタは公式サイトではじめて知りました。
マリオRPGのジーノは、幼かった当時の私にとって「かっこいい」という概念を教えてくれたキャラクターです。うなるSE、キザなセリフ、派手な技の数々。憧れた「ヒーロー」が、確かにそこにいました。そして、今でも心に残るあのエンディング。美しい音楽とともに、天空へと還るジーノをみたそのときから、ゲームという存在が、私のなかで特別な、何か……大きなものへと変わっていったように思います。ジーノは私に、ゲーム体験による感動を教えてくれたのです。
ロゼッタとの出会いは、マリオRPGを遊んでからしばらくの時が流れ、ゲームが私の生活の一部となったあとでした。その頃には、すでにいくつかのマリオシリーズを遊んでいて、「マリオとはこういうもの」という認識が強まっていた時期でした。それゆえに、その認識を大きく変えてくれたマリオギャラクシーは、マリオRPGと並び、私にとって特別なゲームになりました。
発売日の前、私はネットで公式サイトを見に行きました。そこには今まで見たことのないキャラクターがいました。はじめて彼女を見たときは、正直「ピーチのカラバリかな?」といった程度にしか思いませんでした。しかしゲームを遊び、絵本イベントを進めていくうちに、彼女を見る目がガラリと変わりました。ゲームをクリアし、すべての章を読み終えたあと、私の心に残った感動は、『彼』と別れたときに抱いたものによく似ていました。それ以来、ロゼッタもまた、だいすきなマリオキャラになりました。
【なぜジノロゼなのか】
私の物語を目にした99.9%のかたは、多かれ少なかれ「なぜ?」と不思議に思ったのではないでしょうか。私自身、ふたりのことがすきだとはいえ、ふたりとの絡みが見たいという発想は微塵も思い付きませんでした。pixivに投稿されていた、ふたりのイラストを見るまでは。
作者様がすでに削除したので、もう見ることは叶いませんが、その絵には確かに、ふたりの姿が描かれていました。そして、その絵を見たときから、私の中にあったふたりへの思いが少しずつ、少しずつ距離を縮め、混じりあっていきました。
「このふたりは、いいぞ……!」
それからというもの、私はネットに残るわずかなイラストを探しながら、某呟きサイトで思いの丈を叫ぶ日々を送りました。その甲斐あってか、ごく少数ではありますが、同志のかたと知り合うことができ、私のジノロゼへの思いはますます大きくなっていきました。そしてついに、ある思いへと達したのでありました。
「書きたい。ふたりの物語をっ」
こうして、私の物語『めぐりあい』は誕生したのでした。
【おはなしについて】
……と、意気込んだところまではノリノリだったのですが、最初の一行目からいきなりつまずいてしまいました……まずこのふたり、本編はおろか、外伝的作品でも『会ったことがない』のです。なので互いのことを知ることも、これといった設定のつながりもなく、全くの白、まっさらな状態。マリオとピーチのように、ふたりをどうつなげるか。ここがまず最初のテーマとなりました。
ジーノとロゼッタ、ふたりの間に直接的な関係は全くありません。ですが、物語における立場や設定を見比べてみると、ふたりにはやんわりと……か細い糸ほどではありますが、共通している部分があります。それは、どちらも『星』に関わり、マリオの冒険の助けとなる存在であるということ。このほぼ唯一と言ってもいい共通点から、なんとか絞り出せないか考えました。そして、マリオRPGとマリオギャラクシーの世界観を融合させることで、ふたりが同じ場所にいる違和感を少しでも解消しようとしました。ではどこをどのタイミングでくっつけるのか。どんなストーリー展開にするのか。あれこれ考えてはぶん投げてを繰り返し、ようやく書き始めた次第です。その後も、書いては見直し、見直しては書いてを続け、物語をちょっとずつ広げていきました。気がつけば、話数は当初想定していた数を超え、全31話のちょっとした文庫本レベルのボリュームとなりました。
【オリジナルキャラについて】
最初は既存のキャラクターたちだけで書くつもりだったのですが、物語に起伏をつくり、面白くするためにはどうしても必要だなと感じ、登場させました。とは言っても、全くのオリジナルで登場させるのはためらいがあったので、今いるキャラクターを派生させて、読んでイメージしやすく、かつ物語の重要人物としてわかりやすくなるようにと考えました。そして生まれたのが、異なるめぐりのふたり、ジェノくんとダークロゼッタ様です。
ジェノくんは原作に登場した偽ジーノから、ダーク様はスマブラの黒カラーから妄想を始め、私の欲望()を思う存分注ぎこみました。その結果、ふたりともマリオの世界でこんなことやっちゃっていいのか?と思うほどのアウアウをしっかりこなしてくれました。ダーク様はちょっとやりすぎたカモ、ネ……と少し反省してます(汗)。ジーノとジェノは正義と悪という真逆の関係で書きましたが、ロゼッタとダーク様は母と女という生き方の違いをイメージしながら書きました。ハッキリとわかるようには書いていませんが、セリフや仕草からなんとなく感じてもらえていればうれしいです。
【きざし】
発売から21年が経過した今でも、マリオRPGには熱狂的なファンがおり(私もそのひとり)、ゲームのリメイク、続編の制作やジーノの再登場を望む声は絶えません。版権の問題からまだまだ実現は難しいと感じていますが、スマブラのDLCにジーノコスチュームが来たり、下村陽子さんの記念アルバム『memoria!』にマリオRPGの曲が収録されたりするなど、少しずつではありますが、兆しが見えてきています。スマブラの制作者である桜井さんがコラムで参戦させたいキャラクターにジーノを挙げているので、次回作にはジーノがついに復活するのではと、期待に胸をふくらませています。
【さいごに】
大切な人やもの、思い、夢から、どんなに遠く離ればなれになってしまったとしても、俯かず、上を見て、空を見て、星を見続けることで、いつの日か、ふとしたカタチで私たちはそれらにめぐりあえる――『めぐりあい』には、私の願い、祈りのようなものを込めて書きました。ふたりがいつか出会う日がくることを切に願っています。最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
(pixiv投稿日:2017/2/2)